CVEの危機。MITREが米国政府との契約終了。CVE Foundation設立へ

セキュリティ関係では非常にお世話になっている、SCAPの中のCVEを管理している(現在は事務局)MITREへの米国政府の資金提供が2025年4月16日に終了する可能性があるとの情報が入ってきました。 これが終わると様々なセキュリティの枠組みが崩壊してしまうため、セキュリティ業界から様々な声が上がっています。

以下では、現時点(2025/04/17)でわかっていることをまとめます。

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SecurityWeekの記事(2025/04/15)

2025/04/15のSecurityWeekの記事「MITRE Warns CVE Program Faces Disruption Amid US Funding Uncertainty」によるとMITREのCenter for Securing the Homeland の副社長兼ディレクターである Yosry Barsoum氏がCVE Boardに宛てたレターの中で、米国政府との契約が4/16に終了すること。

  • 米国政府との契約が4/16に終了すること
  • 今後の資金援助については何も発表されていないこと

を伝えたとのことです。

画像はbleepingcomputer: CISA extends funding to ensure ‘no lapse in critical CVE services‘から引用

CVE(Common Vulnerability Exposure)およびSCAPに関しては、こちらの記事に詳しく書いてありますが、脆弱性に割り振った一意(Unique)の番号になっており、脆弱性が出た際や対応の際などに広くグローバルで使われているスタンダードになっています。このCVE抜きでは現在の脆弱性管理は成り立たないと言っても過言ではありません。

このCVEの解説とcve.orgにおけるMITREの立ち位置は、「こちらの記事」で紹介していますが、下記の画像で見るとお分かりの通り

画像はCVE: Structureから引用

MITREはSecretariat(事務局)として活動しています。事務局の役割は、CVE Programによってインフラストラクチャを開発・提供・維持し、CVE BoardやCVE Working Group、その他の管理およびロジスティックスサポートを提供する組織になりますので、実質的な要になっています。MITREが機能しなくなってしまうと、CVEの全てが危機に陥ります。

昨年公開されたCVE-ID数と、NIST NVDの状況

 今回のCVE/MITREの騒動でNIST/NVDの話も引き合いに出されているニュースが多いため、参考までにNIST/NVDの状況を簡単に解説します。昨年公開されたCVE-ID数とその「処理待ち(backlog)」がどのようになっているかを2025年1月に集計した際のグラフが以下になります。

CVS発行数(2002年〜2024年)。数はcve.orgのgitから2025年1月時点での集計したもので、Rejectを除外している。

2024年には最大で1ヶ月辺り5000件を超えるCVE-IDが発行されています。このため、米国国立標準技術研究所(NIST)が行なっている「CVE-IDが公開されると解析を行ってCVSS等を付ける」という作業がスタックしてしまいました。外部ベンダーに協力を頼み、優先度の高い脆弱性からなんとか処理している状態です。

「Awaiting Analysis(解析待ち、いわゆるbacklog)」の数。数は2025年1月時点でNISTのNVDからAPIで取得したもの。2024年5月の分は殆ど処理待ち状態になっている事がわかる。

この辺の顛末は、「JapanSecuritySummit: 2025年2月版 最速!危険度の高い脆弱性をいち早く解説「脆弱性研究所」第31回」にて紹介していますので、興味がありましたら読んでみてください。

 CVE Foundation

 今回の騒ぎを受けて、CVE Foundationが設立されました。

https://www.thecvefoundation.org/

このリリースには「CVE Foundationの設立は、脆弱性管理エコシステムにおけるSinglePointFailureの排除と、CVEプログラムが世界的に信頼され、コミュニティ主導のイニシアチブであり続けるための大きな一歩となります。国際的なサイバーセキュリティコミュニティにとって、この動きは、今日の脅威環境のグローバルな性質を反映したガバナンスを確立する機会となります。」と書かれています。

筆者個人の思いでは、個人からの募金などがあるようでしたら参加したいと考えています。

CISAの動き

CISAのX(twitter)へのポストより

まとめ

 今回のケースは米国のいろいろな事情から来ていますが、一方で「一国のインフラに頼ること」の危険性という、非常に大きな問題を投げかけてくれていると思います。今後どうなっていくかをウォッチしたいと思います。

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